かぎ針編み初心者コースのメインともいえる今回は、こま編みの輪編みで小物入れを編みます!
こま編みの輪編みは、あみぐるみや麻ひもバッグ、麦わら帽子などにも使われる手法ですので、今後の作品づくりにも役立ててください。
かぎ針編みの基礎の中でも、ぜひとも習得しておいてほしい今回は、かぎ針編み初心者さんに〝編みたい!〟と思っていただけることを目標に、作品選びとデザイン検討もがんばってみました。
複雑になりすぎず、手法も学べて、実用もできて、定番小物と言えるもの・・・ということで、小物入れに落ち着きました。
シンプルで、お部屋に置いておいてもかわいいので、みなさんにも気に入っていただけるとうれしいです。
今回はこま編みの輪編みの法則性についても、別ページ「こま編みの円の法則性と六角形」を作成して、じっくり解説してみました。
理屈ぬきで編んでいただいても、もちろんOKですが、かぎ針編みってこういうことなんだな、と編み図の理解が深まるのではないかと思います。
もしご興味ありましたら、合わせてご覧になってみてください。
こま編みの輪編みを乗り切れば、きっと、かぎ針編みがもっと楽しくなりますよ!(経験談より)
Index -目次-
まずは、道具と毛糸を用意しましょう
用意するものは?
今回の作品を編むにあたって、用意したものはこちら。
・「ひつじちゃんナチュラル 極太」(極太程度、25g玉巻 約35m)[Col.4] 2玉 50g
・8号かぎ針
・とじ針
・ハサミ
・不要になったクリアファイルなど
秋冬シーズンの編み物が楽しい時期になったので、ウール100%の毛糸で編んでみたくなりました。
そして、今回はお手頃プライスで入手できる糸を選んでみようと、こちらの糸をチョイス!
キャン★ドゥに売っている、『毛糸ピエロ』で有名な後生産業さんの「ひつじちゃんナチュラル 極太」という糸です。
ウール100%のメランジ調の糸で、柔らかすぎず硬すぎず、編みやすい手ごたえです。
以前にも使ったことがある糸なのですが、どこの100均で買ったのかが思い出せず・・・たまたま違うものを買うために寄ったキャン★ドゥで再会しました!
どんなかぎ針がおすすめ?
初心者コース[第1回]のページに同様の説明がありますので、ご参考になさってみてください。
今回使用する糸はウールの極太毛糸です。
写真のような両かぎ針でも編みやすいですし、グリップタイプのものがお好みの方は、もちろんそちらでもよいかと思います!
どんな太さの糸がおすすめ?
今回も引き続き、サンプル作品では太めの毛糸を使用しています。
これまでと同様に、太い糸の方が操作がしやすく、編み目が見やすいという点も理由の一つですが、今回は小物入れということで、たくさん段数を編まなくてもある程度の大きさにしたいなというねらいもありました。
手も慣れたし、中に入れるものに合わせてもっと小さいサイズにしたい、という方は糸を細くするだけで、かなりサイズ調整できますよ!
どんな素材の糸がおすすめ?
小物入れなので特に素材を選ばないため、ぜひお好みの素材で編んでみてください。
季節に合った素材で編むのもいいですし、インテリアとして年中使いやすい素材をチョイスしてみるのもいいですね。
赤い作品は、並太程度のヘンプ(麻)糸なのですが、硬い糸だったので、それなりに手に力が入りました。
その分、仕上がりはシャキッとした雰囲気になります。
ただ、ウールでも中に芯を入れれば(後述)十分しっかりしますので、手が疲れたくないよ、という方は柔らかめがいいかもしれません。
どんな色の糸がおすすめ?
編み目を数えるのに慣れるまでは、明るめの糸が見やすくておすすめです。
暗いお色味の糸は、昼間の明るい時間に編むなどの調整をするのもよいですね。
2種類の糸を引き揃えて編んだりしてもかわいい雰囲気になりそうですが、輪編みの編みはじめの糸を引き締めたりするときにちょっと見ずらいかもしれないので、こちらも輪編みに慣れたらぜひぜひです!
作品と作り方を見てみましょう
第4回目にふた付き小物入れを選んだのはなぜ?
いよいよ今回は、かぎ針編みで最も難関の(と私が勝手に思っている)こま編みの輪編みです。
こま編みの輪編みといえば、こま編みの編み地が同心円状に広がっていく増目(分散増目)をともなうケースが多いため、その練習ができる作品にしたいと思いました。
ただ、あまり増目が続くと、毎段毎段、目数を意識しながら編み進めることに疲れてしまうので、ほどほどに増目して、楽に編める部分もつくりたい、と。
詳しくはこのあと説明しますが、今回の小物入れは、土台が二重がさね(例えるならダブルウォールのマグカップ)の仕立てになっています。
そのため、増目をしてコップ状に編みはじめ、最後は編みはじめと対称に減目して編み地を閉じる、という増目と減目が両方練習できるレシピになっています。
大物過ぎず、飽きずに編めるアイテムとして、今回はふた付き小物入れにしてみました。
作品のサイズはどれくらい?
私が編んだ小物入れは、ふたの直径が9.5cm、ループ飾りを含まない高さが6.5cmくらい。
ゲージは、こま編み3目で2cm、3段で1.8cmほどです。糸の使用量は約48g。
今回使用した25gの毛糸2玉でちょうどでした。
糸が足りなくなりそうで心配な場合は、ふたを先に編んで、本体の目数の増減のない段をちょっと減らして(高さをちょっと低くして)もよいかと思います。
ふた付き小物入れはどう編むの?
今回作る小物入れの本体とふたは、どちらも「こま編みの輪編み」で編みます。
小物入れ本体は、内底になる部分からぐるぐると増し目しながら編み、側面を目数の増減なく編んで、外側の底になる部分を減目しながら編む、というステップ。
これで編み地が2重構造になります。
ふたは2重にせず、増目しながら円を編んだあと、側面を目数の増減なく編んだら完成です。
ふたのてっぺんの飾りは「スレッドコード」という編み方をします。これは初心者コース第2回の巾着ひもの編み方と同じ手法です。
今回も動画解説がありますが、スレッドコードの編み方ページもご用意しましたので、見やすいほうでご確認ください。
今回はスレッドコード10目と、編む目数も少ないので、ぜひおさらい的に編んでみてくださいね。
こま編みだけの作品なのですか?
ぱっと見、すべてこま編みで編んだ作品に見えますが、途中で何か所か「すじ編み」という手法も使っています。
すじ編みも、かぎ針編みの基本的な手法で、操作自体はこま編みと一緒です。
こま編みと違うのは、編むときに、糸を1本拾って編むのか、2本拾って編むのか、という点のみ。
なので、てっぺん飾りのスレッドコード以外は、こま編みだけの作品と言ってもよいくらいかなと思います。
今回は、編み地の模様に変化はつけず、こま編みを集中的に練習してみましょう!という作品です。
編み図はどう見るの?
▶ 編み図のPDFファイルもご用意しています!
・小物入れ(下)編み図
今回の編み図は2つあり、まずこちらが小物入れの本体の編み図です。
・小物入れ(ふた)編み図
次が、ふたの編み図になります。
・編み図記号の意味は?
今回の編み図に登場する記号は、次の6種類です。
くさり編み
引き抜き編み
こま編み
すじ編み
こま編み2目編み入れる
こま編み2目一度
編み図の各段に入っている数字は何段目かを表し、矢印は編み進めていく方向を表しています。
引き抜き編みの記号が、毎段の編み終わりにつけられています。
これは、段の最後の目を編み終えたら、その段の最初の目に針を入れて引き抜き編みをする、ということを表しています。
今回の編み図には、「わ」の印と、段の表記の省略を意味する「~」の印がついています。
編み図では平らに表されていますが、両端の「わ」同士は編み地がつながっていて、実際は筒状になっています。
・作り目のしかたについて
今回の作品は、小物入れの本体もふたも、どちらも輪の作り目で編みはじめます。
それぞれ、円形の編み図の中心に書かれている『〇』が、「輪の作り目」を表しています。
輪の作り目のしかたは、言葉の説明では分かりにくいので、動画をご覧になってみてくださいね。
1段目は、輪の作り目をしてくさり1目で立ち上がり、こま編み6目を編みます。
最初のこま編みの目に針を入れて引き抜き編みをして、1段目の編み地を輪にします。
余っている作り目の糸を引き締めたら1段目が完成し、輪の作り目で編みはじめたことになります。
・小物入れ内底の編み方
小物入れ本体は、内側の底になる部分から編みはじめます。
6段目までは、毎段6か所で増目(こま編み2目編み入れる)をしながら編みますので、毎段6目ずつ増えていきます。
6段目まで編むと、1周の目数が36目になります。
円の増目の法則性については「こま編みの円の法則性と六角形」のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
・小物入れ側面の編み方
7~23段目(側面)は目数の増減なく編みますが、7段目だけは、前段の目の手前側1本だけを拾ってすじ編みをします。
すじ編みをすることで、底と側面の編み地に角度がついて、小物入れ本体を2重構造にしたとき、底のすわりが良くなります(後々分かるかと思いますので、ここでは読み流していただいてOKです)。
目数の増減なく編む段数は、17段です。
側面を編み終えたら、二重構造のすき間に芯を入れます(芯の作り方はページ下でご説明します)。
・小物入れ外底の編み方
24~28段目は外側の底になる部分で、編みはじめとは逆に、毎段6目ずつ減目(こま編み2目一度)をしながら編み進めます。
24段目は、前段の目の向こう側1本だけを拾ってすじ編みをしながら減目をします。理由は7段目と同様です。
28段目を編み終えると、目数は1周で6目になっています。
糸を切った後に、糸端をとじ針に通して最終段の6目に針をくぐらせ、糸を引き締めて糸処理をします(しぼりどめ)。
ここで補足説明しておきたい点としては、外底の減目は、内底の増目と対称になっているということです。
内底の増目を「4目おきに増目」するところまでつづけました。なので、外底の減目では「4目おきに減目」するところからはじめる、というわけです。
このように、対になっていることが分かると、サイズアレンジをするときにも役立ちますので、頭の片隅に入れておいてください。
・ふたの編み方
ふたは、小物入れ本体よりも少し円周を大きくして、かぶせぶたにします。
そのため、本体の編みはじめで編んだ底よりも、増目する段を1段増やしています。
7段目まで毎段6目ずつ増目しながら編み、7段目を編み終えると1周で42目になります。
8~12段目は目数の増減なく編みます。
8段目だけは、ふたの側面に角度をつけるために、前段の目の向こう側1本だけを拾ってすじ編みをします。
・てっぺん飾りの編み方
てっぺんの飾りは「スレッドコード」を10目編んで作っています。
スレッドコードは、初心者コース第2回の巾着ひもの編み方なので、そちらにも動画解説がありますが、「スレッドコードの編み方」ページもありますので、見やすいほうでご確認ください。
スレッドコードが10目編めたら、輪にして、ふたのてっぺんに縫いとめます。
では、実際に編んでみましょう!
編み方動画はこちら
こま編みの輪の作り目や増目・減目、すじ編みなど、ふた付き小物入れを完成させる手順を動画で解説しています。音声なしの字幕つき動画です。
初心者コース第1回~第3回の動画でご説明したステップは、説明を省略している場合がありますので、ぜひ他の回もご覧になってみてください。
また、今回の解説動画は33分と長めですので、お時間にゆとりのあるときにでもご覧いただければと思います!
こま編みの輪編みにチャレンジ!
第2回で、長編みの輪編みを用いた巾着を編みましたが、今回は「こま編みの輪編み」です。
作り目の要領は長編みのときと同様ですが、こま編みの場合は立ち上がりのくさりの数が1目だったり、目が小さかったりするので、長編みの目より少し見ずらいかと思います。
第3回のエコたわしで、こま編みの立ち上がり目の見方を確認したときのことを思い出していただき、こま編みの目をよく見ながら、輪編みをしていきましょう。
増目・減目をする段は特にお忘れなく! 必ず毎段、目数をチェック
増目・減目は法則性にのっとって編むので、どこかの段で目数を間違えると、次の段を編むときに目数が合わなくなって〝あれっ??〟ということになる場合が多いのですが、そのように発見できないケースもあるので、目数の増減がある段では、法則通り増目・減目ができているかを、毎段確認しておきましょう。
ちょっと面倒かもしれませんが、こま編みの目の見方がよく分かるようになりますので、ぜひやってみてください。
ふたを編み終えたら
編み終わりの処理の方法はいくつかありますが、今回の小物入れのふたは、編み終わり箇所が目立たないよう、そのまま糸を抜いて、糸処理をしました。
この方法については「編み終わりと糸処理」のページでも詳しく説明していますのでご参考になさってください。
糸端は編み地の裏側で目立たないように糸処理をしてくださいね。
芯のつくり方
小物入れの側面の補強のため、中に芯を入れています。
ぜったいに必要というわけではありませんので、芯を入れるか入れないかはお好みで判断してみてください。
ここでは、今回使った芯の作り方を簡単にご説明します。
編んでみて、こんなことありませんか?
ふたの大きさが本体のサイズに合いません!
A.ふたのサイズ調整をしてみましょう
この作品は、ふたが本体より少し大きく仕上がるよう、ふたの増目を本体よりも1段増やしています。
ですが、編んでいるときの手加減などによって、ふたがきつくてかぶせられなかったり、逆にゆるすぎてしまうこともあるかと思います。
少しの調整で何とかなりそうなときは、ふたを編むときのかぎ針の号数を変えて、サイズ調整をしてみてください。
かぎ針の号数だけで調整しきれないときは、ふたが小さい場合は、もう一段増目の段数を増やしてみましょう。
このふたの増目は「こま編みの円の法則性と六角形」で説明している法則性と同じなので、この要領でもう一段増目をつづけてみてください。
ふたが大きすぎる場合は、増目する段を1段減らしてみてください。
他に、ふたのサイズが合わない原因としては、どこかの段で編み間違いをして目数が合っていない、という可能性もあるので、念のため目数もご確認くださいね。
深さを変えて編んでみたいです
A.深くすることも、浅くすることもできます
小物入れの高さを調整するのは、とても簡単です。
目数の増減なく側面を編む段数が、小物入れの高さになるので、もっと深くしたいときは、段数を増やしてみてください。
浅くするときは段数を減らせばOKです。
ちなみに、レシピでは側面を17段編んでいますが、赤い作品ではもっと高さを出すために、側面を33段編んでいます。
ふたは側面を1段減らして、浅くしています。
もっと大きなサイズに編んでみたいです
A.小物入れもふたも、サイズを大きくすることは可能です!
いちばん手っ取り早いサイズ調整は、糸を太くする、という方法です。
もし糸の太さを変えず、本体のサイズを大きくしたい場合には、内底の増目の段を増やす、という方法があります(増目の段を増やした分、外底の減目の段も増えます)。
「こま編みの円の法則性と六角形」のページで解説している、円の増目の法則性にのっとって増目をつづければ、それだけ直径が大きくなり、大きな小物入れを編むことができます。
その場合、ふたの目数が小物入れ本体よりも多くなるよう、本体よりも増目の段を多くしてくださいね。
赤い作品はレシピよりも大きめに編んでおり、本体の内底を8段目(6目おきに増目)まで増目し、ふたを9段目(7目おきに増目)まで増目しています。
本体の内底を6目おきに増目するところまで編んだので、本体の外底の減目は、6目おきに減目するところからはじめます。
みなさんの作品
coharuさんの「ふた付き小物入れ」
家にあったマクラメ糸で編んだので編み目ガタガタですか芯を入れなくても、しっかりどっしりとした物が出来ました。何を入れようか考えるのも楽しみです。Roniqueさんの作品好きです♡いつか大物?にも挑戦してみたいです