モチーフをつなぎ合わせるときや作品の仕立てなど、かぎ針編みをしていて、とじ・はぎをするシーンは割と多いですよね。
ここでは、とじ・はぎの違いやその種類、実際にどのようにとじ・はぎをするのかをまとめてみました。
手法に関しては、よく見かけるとじ・はぎで、私も比較的よく使うものをピックアップしました。
他にもいろいろなとじ・はぎの方法がありますので、ご興味ある方は調べてみてください。
「とじ」と「はぎ」の違いはなに?
普段何気なく使っている編み物用語なので、あまり深く考える機会がないかもしれませんが、言葉の定義を知っておくと、ちょっとすっきりしますよね。
この似通った2文字単語、とじとはぎは、いったいどのような使い分けになっているのでしょうか。
まず「とじ」ですが、こちらは編み地の縦に並んでいる段どうしのつなぎ合わせになります。
往復編みで編んだウェアの前身頃と後ろ身頃の端どうしを合わせて、脇を「とじ」ていくところを想像していただけば分かりやすいかと思います。
輪編みの場合は、編み地が筒状に「わ」になってつながっていますので、「とじ」はほぼ登場しませんね。
つぎに「はぎ」のほうは、目と目をつなぎ合わせていく方法になります。
かぎ針編みのモチーフつなぎの場合、モチーフは輪に編まれているので(端はすべて「目」なので)、目と目をつき合わせて「はぎ」をすることになります。
往復編みの編み地の場合は、最終段の目どうしをつき合わせて「はぎ」をすることがありますね。
余談ですが、個人的には、目と目を拾う操作のほうが明解で好きなので、Roniqueレシピには「はぎ」でつくる作品が多めです。
ウェア系のレシピが増えてくると「とじ」が登場することも多くなるかもしれません。
引き抜きはぎ
モチーフつなぎの作品には頻出の引き抜きはぎ。
引き抜きはぎは、並んだ目を一目一目すべてはぎ合わせていくので、編み地どうしをしっかりとつなぐことができます。
力のかかるバッグのつなぎ目などにも向いていますね。
隙間なくきれいなラインではぎ合わせることができるので、はぎ合わせ自体を作品のアクセントとすることもできます。
引き抜きはぎには、目の頭の2本を拾う「全目の引き抜きはぎ」と、頭の2本のうちの1本だけを拾う「半目の引き抜きはぎ」があり、作品のデザインによって使い分けられたりしています。
「引き抜きとじ」という方法もあるようですが、私が知る限りでは、かぎ針編みではあまり登場しないようなので省略しますね。
全目の引き抜きはぎと半目の引き抜きはぎ
引き抜きはぎといえば、基本的には「全目の引き抜きはぎ」になるかと思います。
つき合わせた目の頭の2本を順に拾って、引き抜き編みをします。はぎ合わせた目と目がぴたっと密着して、とてもしっかりとしたはぎ合わせになります。
半目の引き抜きはぎをする箇所では、その旨添え書きがされていることが多いかと思います。
つき合わせた目の頭の2本のうち、内側か外側どちらか1本ずつを順に拾って引き抜き編みをします。
半目の引き抜き編みは、はぎ合わせた目と目が、全目の引き抜きはぎよりも少し離れるので、はぎ合わせ箇所がやや薄手になります。
全目の引き抜きはぎ 動画解説
全目の引き抜きはぎ 画像解説
半目の引き抜きはぎ 動画解説
半目の引き抜きはぎ 画像解説
こま編みとじ・こま編みはぎ
こま編みのとじ・はぎは、迷いのない操作感がメリットですね。通常のこま編みは、前段の目だけを拾いますが、とじ・はぎの際には、つなぎ合わせたい箇所を両方拾ってこま編みをする、という違いだけです。
かぎ針を入れて拾うことができれば、どこでもこま編みでつなぎ合わせることができてしまいます。
そして、こま編みのとじ・はぎも、編み地と編み地をしっかりとつなぎ合わせることができます。
こま編みなので、減目をしながらとじ・はぎをすることも可能です。
編み地にギャザーを寄せながらとじ・はぎする、なんてこともできてしまうので、使い方次第で面白い作品ができそうですね。
こま編みは高さが出るので、はぎ合わせた側から見ると、はぎ合わせ箇所が目立ちます。
なので、編み地の裏側からとじ・はぎするか、あえて表にはぎ合わせ箇所を見せるデザインにする、などの工夫は必要かもしれません。
かぎ針編みモチーフのはぎ合わせを例に、動画でこま編みはぎのしかたを解説します。
こま編みはぎ 動画解説
こま編みはぎ 画像解説
鎖とじ・鎖はぎ
くさり編みと引き抜き編みを組み合わせて、編み地をとじ・はぎしていく方法です。
ちょっと透け感のある模様編みのウェアの脇をとじていくときなどに、鎖とじがよく使われています。
動画解説では、分かりやすいようにモチーフを外表にあわせて鎖はぎをしていますが、ウェアの場合、編み地を中表に合わせて鎖とじをしたら、編み地を表に返し、鎖とじの目を表に見せないことが多いですね。
レシピにはよく「鎖3目の鎖とじ」などと添え書きがされています。
その場合、編み地を中表に重ねて、裏から「鎖3目→引き抜き編み1目」を繰り返してとじていくので、編み地の表にあまり響かず、きれいに仕上がります。
編み地と編み地の間にとじていないすき間ができるので、ちょっと華奢なはぎ合わせですが、ネット編みのようなものだと考えれば、心配するほどではないかもしれません。
鎖はぎ 動画解説
鎖はぎ 画像解説
巻きかがり
巻きかがりをする際は、かぎ針ではなく、とじ針を使います。糸端はもう糸玉にはつながっておらず、巻きかがりできるだけの長さを残して切ってある状態です。
動画解説では別糸をとじ針に通して巻きかがりをしていますが、編み終わりの糸端を長めに残して切り、それをとじ針に通して巻きかがりをすることもできます。
巻きかがりはモチーフをとじていくときや、編み地をはぎ合わせていくときなど、広く使われる方法ですが、縫い物の操作感なので、長さのある箇所だと糸継ぎも必要になったりします。
昔懐かしいフェルトマスコットをつくるときの、一番やさしい縫い合わせ方と同じ方法ですね。
個人的には、編み物においては短めの箇所をつなぎとめるのに便利なとじ・はぎ方法かなと思います。