毛糸の帯にある記載をたよりに、海外の糸「Jamieson’s Shetland Spindrift」と太さが近そうな国内メーカーの糸を探してみる、という試み。
糸のグラム数と糸の長さを比較すると、ハマナカ「純毛中細」が一番太さが近そうだ、という結果になりました。
続編として、比の計算をもとにした糸選びはどこまで当てになるのか、ということで、実際にゲージをとって検証をしてみることにします。
【比の計算は信用できる?】
数字で比較したときと同じく、Jamieson’s と3種類の国内メーカーの糸、計4種類の糸でゲージをとってみました。
今回は Jamieson’s との比較がしたいので、Jamieson’s で編んだとき正方形に近くなる目数と段数に合わせて編みました。
どの糸も、作り目30目、33段で編み、結果は以下のとおりです。
Jamieson’s:タテ13cm × ヨコ13.4cm
純毛中細:タテ12.2cm × ヨコ13cm
ブリティッシュファイン:タテ12cm × 13cm
シェットランドウール:タテ14.7cm × ヨコ14.8cm
ミリ単位の微妙な違いは、編んだときの手の加減もありそうです。
ぱっと見で近いかなと思った「シェットランドウール」は、実際編んでみても、Jamieson’s よりは太めということが分かりました。
比の計算とゲージは、かなりマッチする結果ではないでしょうか。
太さが近そうなものをかき集めて何種類もゲージをとるのは大変なので、今回のような場合は、比の計算を信じて、太さが違いそうな「シェットランドウール」以外でゲージをとるなど、比の計算でだいたいの目星をつけてから絞り込むのが効率的と言えそうです。
【何を重視して選ぶか】
せっかく編んでみたので、ここで簡単な糸レポも。
Jamieson’s は、ぽわぽわしたエアリーな感触があって、羊を感じさせる糸です。糸同士がちょっとからむような引っ掛かりがあって、そんな野性っぽさもかわいい糸です。
純毛中細は、やわらかくてすべすべしていてとても手触りがよい糸です。糸の太さはどこも均等で、するするっとしていて編みやすいです。
ブリティッシュファインは、もしゃもしゃっとしていて、こちらも羊感たっぷりな糸で、細くても適度な硬さもあり、素朴な風合いです。
シェットランドウールは、素朴さを残しつつ、均等な太さでむっちりした弾力もあって、いろいろな用途に使えそうです。
これら4種類は、どれもウール100%の糸です。
今回の検証でも「純毛中細」が一番太さが近そうだ、という結果になりましたが、実際の糸選びでは、糸の太さ以外にも、色味や質感といった要素も大事になってきます。
太さを最も重視しているのであれば「純毛中細」がいいし、毛糸の質感も近いものがよければ、Jamieson’s の羊っぽさに近い「ブリティッシュファイン」がいい、という判断があるかもしれません。
【まとめ】
今回は手持ちの糸で比較したのでドンピシャとまでいきませんでしたが、世の中の毛糸を探せば、より Jamieson’s に近い太さの毛糸が発見できると思います。
そして、実は今回、比較用の国産メーカーの糸をチョイスするとき、はじめ「純毛中細」は細すぎるから違うのがいいかな、なんて思っていました。
このように、目で見た感覚が当てにならない私は(笑)、いつも比の計算に助けられています。
オンラインショッピングでは、糸のグラム数と巻きの長さはたいてい記載がありますので(なくても糸名で検索するとすぐに見つかります)、今回のように計算をしてみると、だいたいあの糸に近い太さかな、と知っている糸を思い浮かべたりすることもできます。
編み図の使用糸と違う糸で編んでみたいときや、糸を手に取って見ることができないときなんかに、ぜひ参考にしてみてください。