Ronique の4冊目の著書です。デザイン・製作を担当させていただきました。
今回は、バッグづくりのメソッドと模様編みパターン集が1冊に収まった、これまでのとはまったく違うコンセプトの本になっています。
この本を見ながら、パターン集の中から好きな模様を選んで、お好みのバッグを編んでいただこうというものです。もちろん、そのまま編めるサンプル作品もたくさん載っていますよ。
当ページの「製作こばなし」では、この本が生まれた背景や、本の内容、そして製作メンバーについて語っていますので、本をお手に取っていただく機会がありましたら、ふと思い出していただけますとうれしいです。
Index -目次-
【お知らせ】
2021.07.17
「好きな模様で編むかごバッグ」が2度目の再版になりました。
1回目の再版から間もないタイミングでしたので、驚きと感謝でいっぱいです。
ご購入くださった皆さま、本当にありがとうございます!
2021.06.09
「好きな模様で編むかごバッグ」が再版になりました。
発売から間もない時期に再版となり、多くの方にお手に取っていただけましたこと、心から感謝申し上げます。
2021.04.02
4冊目の著書の予約がスタート。
【Amazonリンク】
「好きな模様で編むかごバッグ 模様編み100×底5×持ち手6=3000パターン」(文化出版局)
この本に関わった皆の渾身の一冊。
かぎ針編みでバッグを編むためのメソッドが本になりました。
“輪編み”の模様編みが100パターン載った編み地集でもあります。そんな模様編みパターンを使って、自分好みのバッグを編んでいただこうというコンセプトになっています。
基本のバッグやアレンジバッグのレシピも22種ありますので、見本作品をそのまま編むこともできますよ。
【製作こばなし】
1.この本の背景について
今回の本は、モンタージュのようにパーツを組み合わせてバッグが編める、というもの。
これは、実は7〜8年くらい前からずっと温めていたアイデアでした。
自分好みの作品を作る、というのはとても楽しいことで、このアイデアがあれば、きっとそれをみなさんと共有できる!と、一人ワクワクしながら盛り上がっていたものです。
ただ、振り返ってみると、その後たくさんの作品を編んで、編み地パターンを考えようと思えるようになった今だからこそ、このアイデアを理想の形で実現することができたのかなと感じています。
もちろん、本という理想の形になったのは、編集をはじめとする関係者のみなさまのお力のおかげで、そのお話は、別の回でゆっくりさせていただきたいと思っています。
自分好みのバッグを編む、というと、かぎ針編みに慣れた方向けのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は、そのまま編めるレシピがたくさん盛り込まれています。
基本のバッグを編む→アレンジバッグを編む→自分好みのバッグを編む
といった具合に、既存レシピで編み慣れてから自分好みのバッグを編む、というステップを踏んでいただくことも可能です。
おすすめの具体的なステップについても、また別の回で触れますね。
かぎ針編みをはじめたばかりの方へも、ベテランの方へも、私の中で楽しんでいただきたい気持ちは一緒です。
また、それぞれの楽しみ方ができる一冊でもあるかと思います。
そして、かたわらに置いて長きに渡ってお役立ていただける一冊になることを願うばかりです。
2.模様編みパターン集について
今回の本には、100種類のかぎ針編み模様編みパターンが掲載されており、バッグの本でありつつも、編み地集でもあるという一冊になっています。
100の編み地をどうやって考えたのかといいますと、(たぶん実際は200近く試し編みをしたのではないかなぁと思うのですが)とにかくひたすらに編んで、試して、気に入った編み地をチョイスしました。
基本的な編み方のバリエーションが潜在意識にはあるのだと思いますが、何かを見て編んだものはなく、どれも、〝こう編んだらどうなるんだろう?〟〝この編み方を組み合わせたらどうなるんだろう?〟というトライアルで、後になって編み図を見返すと、全く同じ模様を編んでいた!というのが1組あったりして、自分でも驚きました。
なので、世の中をくまなく探せば、偶然何かと同じ、という可能性がなくはありませんが、少なくとも私にとっては、新しい模様編みパターン集になっています。
そして、今回の編み地はすべて「わ編み」の模様編みパターンになっています。
わ編みは、模様によって、立ち上がり位置がかなり斜行するケースがありますよね。
今回のパターンでは、編み図が分かりにくくなりすぎない範囲で、できるだけ斜行しにくいよう工夫してあります。
編む方の手によって斜行の具合が異なるかと思いますが、私が編んだ場合の斜行の具合を確かめながら、極端な斜行を避けるよう調整してみました。
斜行は気にならないからとにかくシンプルに編みたい、という方は、立ち上がりの編み方の法則性を見つけていただき、シンプルに編んでいただければよいかなと思います。そんな自由さも編み物の良さですよね。
あと、編み地の広がりや狭まりについてですが、一般的にも、こま編みを0(ゼロ)とすると、模様編みによって、編み地の広がりが+1の場合もあれば、-1の場合もあるかと思います。
これも編む方の手によるところが大きいかと思いますが、例えば、こま編みよりもよね編みのほうが仕上がりの幅が狭くなる、なんてことありますよね。
この点については、編み地によってバラツキはありますが、こちらも振れ幅があまり極端にならないものをチョイスしました。
ただ、1段目を編んだらすごく編み地が広がるけど2段目を編んだら落ち着く、バッグの形になってくる頃には落ち着く、といったパターンなどあるかと思いますので、何段か様子を見てみてください。
今回は、編み地集も作品例のバッグも、使用糸はすべてエコアンダリヤ(ハマナカさん)です。
エコアンダリヤで編んでしっくりくる模様編みになっていますので、違う糸で編むと広がりが変わったりするかもしれません。
そこは冒険あり、ワクワクあり、と考えていただければと思います。
あと、模様編みのデザインとしましては、詰まった編み地がけっこう好きではありますが、涼しげなのもあったほうが楽しいし、細かい模様も大きめの模様も、おうとつある模様も…など、とバリエーションを意識して編んでみました。
中にはちょっと変わった編み方をするパターンなんかもありますが、ゆっくり眺めていただき、編みやすそうなものから着手していただけたらなと思います。
3.見本作品について
今回のタイトルは「好きな模様で編むかごバッグ」。
この一冊があれば、掲載のパターン100をご活用いただいて、好みの模様のバッグを編める、というものです。
そんな自由さがありつつ、この本には、そのまま編める見本の作品のレシピが22点掲載されていますので、まずは既存のレシピで編んでいただくことができます。
これまでの本では、だいたい25点くらい作品が載っていました。
今回もパターン集以外にバッグ作品が22点もあったんだなぁと、あらためて振り返ってしまいました。
麦わら色で編んだ基本のバッグが11パターン、カラー展開で編んだアレンジバッグが11パターン(小物1点含む)載っています。
いろいろな要素があるので、すべてに当てはまるような難易度をつけるのは難しいですが、パターン集から好みの模様で編む場合も含めて考えると、一番気軽に編めるのは丸底バッグ、一番後回しにするとしたらぺたんこ底バッグ、といった感じでしょうか。
解説を読んで、基本のバッグを編んでいただき、Howtoのイメージが具体的になったら、お好みのバッグを編む際のエッセンスをアレンジバッグから得ていただく、といった流れも良いかなと。
〝こういう場合どうするの?〟の答えが、アレンジバッグのレシピの中にあったりするかと思います。
アレンジバッグのデザインは持ち手のバリエーションも豊富なので、デザインをそのまま使って、色を変える、模様を変える、という展開だけでもずいぶん楽しめそうですよ。
あとは、実際に本を見ながら、イメージをふくらませて楽しんでいただいたり、さっそく何かお試しいただいたり、しばらく眺めていただいたりと、いろいろな角度からの着手♪をしていただければと思います。
みなさんがどんな作品を編んでくださるか、今からとっても楽しみです。
4.製作メンバーについて
新しいことを考えたり、挑戦したりするのはワクワクの境地ですが、今回はまさに新しい試みの本でした。
私が編み地やバッグを編んだこと以上に、関係者皆さまのお知恵とご経験とスキルと…エネルギーを注いでいただいて完成した1冊だと心底感じています。
今回の本で大変お世話になった関係者の皆さまをご紹介させていただきます。
ブックデザイン 若山嘉代子さん L’espaceさん
撮影 吉森慎之介さん
安田如水さん(文化出版局)
校閲 向井雅子さん
編集 小林奈緒子さん
三角紗綾子さん(文化出版局)
あらためまして、本当にありがとうございました‼︎
私がかぎ針編みをはじめたきっかけになったのは下田直子先生の「かぎ針編みっておもしろい」でした。
そのブックデザインをされていた若山さんに、今回の本のデザインを手がけていただけるという感激な経緯などもありました。
お写真は、インスタのpicからも素敵な世界が一目瞭然の吉森慎之介さん( @shinnosukeyoshimori )。
プロセス撮影が、安田如水さん(いつもありがとうございます!)。
そして、神だとしか思えない校閲をしてくださった向井雅子さん。
編集の小林さん、三角さんには、これまでの3冊につづき、今回も大変お世話になりました。
なかなかひとことで言い表せない感謝と敬意と…、また、編集のお仕事というのは偉業だと感じずにはいられません。
そして、すべてのベースにある、読者の皆さまのことを一番に考えた製作メンバーの情熱が、本当にかけがえのないものだったなと思います。
(本当は、私から〝製作メンバー〟だなんておこがましいのですが、簡潔表現のため失礼しました)