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中細、並太といった分類は海外にもある?
編み図やレシピを見ながら編み物をする際に、真っ先に確認するのは使用糸の情報ではないでしょうか。
日本では、糸の太さの参考として、中細、並太、極太といった表現がすっかりおなじみかと思います。
このような記載がない毛糸でも、帯に載っている使用針の号数から〝これは並太くらいだな〟と頭の中で自然と理解しているかもしれませんね。
そして、日本の毛糸だけでなく、海外の毛糸まで視野を広げると、糸選びの選択肢が増えてワクワクしますよね。
逆に、海外のレシピを日本の糸で編みたい、ということもあるかもしれません。
海外の毛糸も、帯にはだいたい、1玉のグラムとメートルが載っているので、それをもとに計算して太さをイメージしてもよいですが(「太さが近そうな糸を探すには?」参照)、日本でいう中細、並太のような目安で判断できると便利だなと思ったりします。
海外の毛糸にもこのような共通した分類があるのか、あるとしたらどんな表現がされているのか、と疑問が湧いてきませんか。
前者については〝ある〟というのが答えで、海外にも、日本の中細、並太のような、糸の太さのくくりがあるようです。
そこで、このページでは、後者の〝どんな表現がされているのか〟という点について、ちょっと範囲をしぼって、アメリカでの一般的な表記を取り上げてみることにします(それ以外の国も、後日追加できればと)。
日本でもそうですが、こういった分類は完全に厳密なものではなく、アメリカの毛糸についても、ここでの表記や分類がすべてではありません。
こちらは私が個人的にまとめた一つの資料として、ご参考程度にご覧いただければと思います。
なお、アメリカの毛糸の太さの基準については Craft Yarn Council の情報を参考にさせていただき、かぎ針サイズについては、Ronique調べの「日本と海外のかぎ針サイズ」にもとづいて判断しました。
毛糸の太さとかぎ針サイズの比較表
さっそくですが、日本の太さの目安に対応したアメリカでの一般的な表現と、それぞれの太さの毛糸に使用するかぎ針サイズを、一覧にまとめてみました。
毛糸の太さ | かぎ針サイズ | ||||
日本 | アメリカ | ミリ | 日本 | アメリカ | |
重さ分類 | 糸のタイプ | ||||
~合細 | Lace | Fingering 10 count crochet thread | 2.25 mm | 2~3号 | B-1 |
中細 ~合太 |
Super Fine | Sock, Fingering, Baby | 2.25~3.5 mm | 3~6号 | B-1 ~ E-4 |
合太 | Fine | Sport, Baby | 3.50~4.50 mm | 6~7.5号 | E-4 ~ 7 |
並太 ~極太 |
Light | DK, Light Worsted | 4.50~5.50 mm | 7.5~9号 | 7 ~ I-9 |
極太 | Medium | Worsted, Afghan, Aran | 5.50~6.50 mm | 9~10号 | I-9 ~ K-10½ |
超極太~ | Bulky | Chunky, Craft, Rug | 6.50~9.00 mm | ジャンボ 7~8 mm | K-10½ ~ M-13 |
Super Bulky | Super Bulky, Roving | 9.00~15.00 mm | ジャンボ 10~15 mm | M-13 ~ Q |
こうしてまとめてみて目がとまったのは、「中細~合太」に対する日本のかぎ針サイズ。
3号から6号ってけっこう幅がありますよね。だいたい細い糸系、というざっくりした感じでしょうか。
あと、日本では「並」という文字からも、並太が中くらいの太さという印象ですが、アメリカでは極太が「Medium」というあたりからも、基準が太め寄りで、太めの糸のバリエーションの多さにも気づかされます。
重さ分類と糸のタイプは何が違うの?
海外のレシピやサイトを見ていると、上の表の重さ分類と糸のタイプは、使われ方もまちまちのようです。
ここでいう「重さの分類」の項目だてで「糸のタイプ」が書かれていたりすることもあります。
なので、どちらも重さの区分として使われることがあり、そもそも、糸の太さ= yarn weight ということなのですね。
重さの分類のほうは、何となくイメージがつくかと思うのですが、糸のタイプはすぐにピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私はそうだったので、さっそく調べてみました。
聞き覚えのあるところから見てみると、超極太の中の「Roving」などは、Roving yarn という種類の糸で、日本ではダルマさんのウールロービングなどが連想されます。
海外の糸でも、Roving yarn を調べると、撚りの甘い、ふわふわした毛糸(ハマナカさんの「ドゥー!」のような毛糸)がたくさん出てきます。
それに対し、同じ超極太の中でも Rug yarn は、しっかりと撚りがかかった、見るからに丈夫そうな糸です。
似たような太さでも、これくらいタイプが違うと、分類を分ける意味がありそうですね。
極太の中の Afghan yarn を調べると、海外の色とりどりなブランケットがたくさん出てきました。
また、「Sport」は Sport weight yarn という表現がされていたりもします。
このように、糸のタイプを聞くと、だいたいの糸の用途や太さがイメージできそうです。
ソックニッターさんやショールニッターさんなど、自分の好きなジャンルで編み物をする方がいらっしゃるように、靴下を編むときは Sock yarn と毛糸も分類されていると、毛糸選びがしやすいですね。
もちろんソックヤーンで違うものを編むこともありますが、ソックヤーンと言えば中細程度の毛糸を想像することができるかと思います。
それが、ソックスだけでなく、 Afghan(ブランケット)用だったり、アラン用だったりと、いろいろあるイメージなのかなと。
まとめると、同じくらいの太さの糸の中にも、さらに糸のタイプによる種類分けがありますよ、ということですね。
こうして調べているうちに、毛糸のタイプの違いもだんだん分かってきました。
実は、日本の中細、並太、といった区分よりも、さらに具体的なイメージがしやすい分類になっているのですね。
今回はアメリカでの表記を取り上げましたが、こうした表記の意味を頭の片隅に置いておくと、海外の毛糸を選ぶ際にとても便利そうです。