前回のかぎ針編み初心者コースでは、こま編みの輪編みにトライしました。
輪の作り目や立ち上がり、編み終わりの引き抜き編みにも慣れてきたでしょうか。
この編み方が分かると、かぎ針編みで一番ややこしいステップもほぼクリアかなと思います。
その感覚を忘れないうちに、今回はこま編みの輪編みを使ったマルシェバッグを編んで、おさらいしてみましょう!
前回の小物入れよりもサイズアップするので、出来あがったときの達成感も大きいと思います。
バッグが編めるようになると、かぎ針編み初心者さんも卒業に近づいた感じがしますね。
世の中にバッグのレシピが数多ある中、「基本のマルシェバッグ」という大それたネーミングにしたのは、次のような理由からです。
1.簡単に編めるから
2.キリのよい目数・段数になっているから
3.アレンジの土台にできるから
かぎ針編みは数を数えることが多く、特に円を編んでいくときなどは必須です。
今回も、数を確認しながら編んでいく作品なので、ターニングポイントでチェックする編み図の数字は、できるだけ分かりやすく、覚えやすいものにしました。
そして、オーソドックスな形なので、基本形が編めれば、途中で色を替えたり、バッグの深さを変えたり、持ち手の長さを変えたりと、お好みに合わせて簡単にアレンジすることができます。
初心者さん時代はもちろんのこと、初心者さんを卒業してからも、違う糸で編みたくなったときや、違った楽しみ方がしたくなったときには、ぜひまたレシピを見にいらしてくださいね!
マルシェバッグの編み図は、同じ要領で編めるサイズ違いを、3種類ご用意しました。
SサイズとMサイズは底の大きさが同じで、バッグの深さと持ち手の長さが違います。
Lサイズは底の大きさを含め、全体的に大きくなっています。
下に、かぎ針と一緒に写した画像を載せていますので、サイズ感のご参考になさってみてください。
では一緒に、かぎ針編みのマルシェバッグに挑戦してみましょう!
Index -目次-
まずは、道具と毛糸を用意しましょう
用意するものは?
今回の作品を編むにあたって、用意したものはこちら。
・麻ひも(並太程度)S:150g(オフホワイト100g・麻色50g)、M:ブルー 170g、L:麻色 270g
・7号かぎ針
・とじ針
・ハサミ
今回私が使用した糸は、だいぶ前からのストック品だったので、どれもすでに廃番になってるようでごめんなさい。
オフホワイトとブルーは、毛糸ピエロ(後生産業)さんの「ワイルドライフ」というヘンプ糸(100gかせ 約110m) で、けっこう硬めの平均的な並太かなという印象の糸です。
麻色のほうは、同じく毛糸ピエロさんの「R106」という並太リネン糸(100gかせ 約200m)です。
100gあたりのmでみると太さがだいぶ違うように思えますが、実際はほぼ同じくらいの並太でした。
代替糸のご参考として、ハマナカさんの「エコアンダリヤ」も今回使用した糸と同じくらいの太さ(並太)になります。
仕上がりサイズも近いので、サンプル作品くらいのサイズ感に仕上げたいときのご参考になさってみてください。
このページの最後に、エコアンダリヤで編んだマルシェバッグの画像も載せています。
どんなかぎ針がおすすめ?
今回は丈夫で硬めの糸を使用しました。
このような麻ひも系の糸で編む場合、金属製の片かぎ針・両かぎ針だと、編んでいるうちに手が痛くなってしまう方がいらっしゃるかもしれません。
グリップタイプのかぎ針は、持ち手に幅があって当たりが和らぐので、もしお持ちでしたら試してみる価値はあると思います!
どんな太さの糸がおすすめ?
特に小さく繊細に編みたいということでなければ、並太~極太くらいの太さがおすすめです。
あと、麻ひものような硬い糸だと、並太で編むのと極太で編むのとでは、完成サイズにけっこうな違いが出ます。
今回は並太糸のサンプルになりますが、極太糸で編んだら厚地でざっくりとしたカゴバッグになるので、それもまたよいかと思います。
どんな素材の糸がおすすめ?
バッグなので、ある程度の太さがあれば素材は問いません。
夏糸は硬めのものが多く、冬糸よりも編むのに力が要るので、手が疲れることなく編みたい場合や、秋冬シーズンに活用したいときは、極太くらいの冬糸で編んでみるのもかわいいと思います。モヘア糸など、それだけだと強度が心配な場合は、極太糸と引き揃えて編んだりしてもいいですね。
どんな色の糸がおすすめ?
硬めで太さのある夏糸は一目一目が見やすくはありますが、さらに明るめの糸だと目を数えるのが楽です。
そして、バッグは手で握って持ったりすることもあるので、汚れが目立たないお色も使いやすそうですよね。
ファッションの差し色としてお色選びをするなど、用途に合わせて楽しく頭を悩ませてみてください。
作品と作り方を見てみましょう
第5回目にマルシェバッグを選んだのはなぜ?
前回、こま編みの輪編みを実践して感覚をつかんでいただいたところで、次は、こま編みの輪編みから広がる世界を垣間見ていただこう!という思いで作品をチョイスしました。
難しいポイントが特になく、こま編みの輪編みができれば、あとはスムーズに編んでいただけそうなところも決め手でした。
持ち手一体型のデザインなので、糸が足りなくなったとき以外、糸継ぎをする必要もありません。
バッグって、こんなにシンプルに編めるんだ!と感じていただけたらうれしいです。
作品のサイズはどれくらい?
今回の基本のマルシェバッグは、S・M・Lの3つのサイズがあります。下に採寸図を載せました。
採寸のしかたも、以下、補足させていただきますね。
・バッグの横は平置きで採寸
・バッグの高さは側面~最終段までを採寸
・持ち手は内周を採寸
こま編みのゲージ(10cm平方)は以下の通りです。
・麻色:横 17目 × 縦 18.5段
・オフホワイト・ブルー:横 16目 × 縦 18.5段
マルシェバッグはどう編むの?
このマルシェバッグは、輪の作り目で編みはじめ、こま編みの輪編みで編み進めていきます。
バッグ底は、増目をしながら、こま編みの円がだんだん大きくなるように編みます。
側面は、目数の増減なく、編み地が筒状に真っすぐ高くなっていくように編みます。
持ち手をつける段では、こま編みの輪編みの途中でくさり編みをします(このくさりが持ち手の土台になります)。
そして次の段で、くさりから目を拾ってこま編みをし、こま編みの輪編みをつづけます。
持ち手までくると、ゴールは目前です!
実用的なサイズにするために、編む目数や段数はそれなりに多いですが、前回のこま編みの輪編みでつくる小物入れよりも、仕組みは簡単かもしれません。
こま編みだけの作品なのですか?
持ち手のくさり編みをのぞけば、すべてこま編みの作品です。
こま編みは丈夫な編み地が仕上がるので、バッグにぴったりの編み方です。
模様編みなどが入らない分、バッグのつくりが印象に残ってくれればいいなと、こま編みだけのプレーンな作品を、基本のマルシェバッグとしてみました。
編み図はどう見るの?
▶編み図はPDFファイルをご用意しています。
マルシェバッグS 編み図、マルシェバッグM 編み図、マルシェバッグL 編み図
Lサイズは縮小の関係で編み図が小さいので、印刷すると見ずらいところがあるかもしれません。
その場合はPDFファイルを拡大してご確認ください。
・マルシェバッグ(底)編み図
S・Mサイズのバッグ底を例に解説します。
大きな円の編み図ですが、前回の小物入れの底と同様に 「こま編みの円の法則性と六角形」のページで解説している円の増目の法則性で、15段目まで編んでいきます。
毎段6目ずつ増やしながら15段目まで編むと、1周の目数が90目になります。
・マルシェバッグ(側面と持ち手)編み図
下の画像は小さくてちょっと見づらいですが、こちらはMサイズのバッグ側面と持ち手の編み図になります。
バッグ底からつづけて、側面→持ち手、と編み進めます。
実際に編まれる際は、PDFファイルのほうが見やすいので、そちらでご確認くださいね。
・編み図記号の意味は?
今回の編み図に登場する記号は、次の4種類です。
くさり編み
引き抜き編み
こま編み
糸を切る
これまでと同様に、数字と矢印は段数と編む方向を示しています。
編み終わりについている黒い三角形は、糸を切ることを表す記号になります。
また、今回の編み図も、側面の両脇に「わ」の印がついています。
編み図では平らに表されていますが、両端の「わ」同士は編み地がつながっていて、実際は筒状(底もあるので袋状)になっています。
・作り目のしかたについて
このバッグは、輪の作り目で、底から編みはじめます。
バッグ底の編み図の中心に書かれている『〇』が、「輪の作り目」を表しています。
輪の作り目のしかたは、今回も動画解説させていただきますね。
・バッグ底の編み方
1段目は、輪の作り目をしてくさり1目で立ち上がり、こま編み6目を編みます。
6段目までは、前回の小物入れとまったく同じ編み方になります。
今回のバッグは、7段目以降も底の増目をつづけます。
円の増目の法則性については「こま編みの円の法則性と六角形」のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
毎段目数を確認しながら編み進めます。
前段の目数が間違っていると、次の段を編むときに数が合わなくなるので、もしそうなった場合、前段の目数も確認してみてください。
S・Mサイズは15段目まで、Lサイズは20段目まで、増目しながら底を編みます。
バッグ底の最終段は、S・Mサイズは15段目で1周90目、Lサイズは20段目で1周120目になります。
・バッグ側面の編み方
側面は目数の増減なく編みます。
底の最終段の目数のまま編み進めるので、S・Mサイズは1周90目、Lサイズは1周120目で、側面を編みます。
側面は、各サイズごとに下記の段数を編みます。
Sサイズ:16~40段目(25段)
Mサイズ:16~45段目(30段)
Lサイズ:21~36段目(35段)
側面の段数がバッグの高さ(深さ)になります。
Sサイズは、37段目から麻色に色替えして、そのまま完成まで編んでいます。
36段目の編み終わりで引き抜き編みをする際に、オフホワイトの糸から麻色の糸に替えて引き抜きます。
「段ごとの色の替え方」ページにも解説がありますので、ご参考になさってください。
・持ち手の編み方
Sサイズは41段目、Mサイズは46段目、Lサイズは56段目で、持ち手をつくるためのくさり編みをします。
例えばMサイズは、くさり1目で立ち上がってこま編み15目を編んだら、くさり30目 → こま編み30目 → くさり30目 → こま編み15目、の順に編んで46段目を終えます。
Sサイズは、こま編み15目 → くさり20目 → こま編み15目 → くさり20目 → こま編み15目、と編んで41段目を終えます。
Lサイズは、こま編み20目 → くさり40目 → こま編み40目 → くさり40目 → こま編み20目、と編んで56段目を終えます。
持ち手のくさりを編んだ次の段で、くさりの箇所は、くさりの向こう側1本と裏山を拾ってこま編みを1目ずつ編み入れていきます。
では、実際に編んでみましょう!
編み方動画はこちら
こま編みの輪の作り目から持ち手のつけ方まで、基本のマルシェバッグを完成させる手順を動画で解説しています。音声なしの字幕つき動画です。
初心者コース第1回~第4回の動画でご説明したステップは、説明を省略している場合がありますので、ぜひ他の回もご覧になってみてください。
また、今回の解説動画も27分と長めですので、分かりにくい箇所だけ動画で確認していただいてもよいかと思います!
〝底の増目〟と〝持ち手つけ位置〟は目数をチェック!
バッグ底は、こま編みの輪編みで増目しながら、だんだんと大きな円を編んでいくので、1目おきに増目、2目おきに増目、3目おきに増目、と毎段増目の間隔が広がっていきます。
なので、底を編み終えるまでは、必ず数を数えながら編んでいきます。
持ち手つけ位置は、どこから持ち手のくさりを編みはじめるか、目数を数えて確認しましょう。
楽に編めるバッグ側面にも、注意点があります!
側面に入ると増目がなくなるので、底のように目数を気にせず編むことができます。
目数を編み間違えやすいのは、立ち上がりや編み終わりなので、そこを間違わないように気をつけながら、毎段同じ目数で編んでいきましょう。
側面は、どこかで目を飛ばしたり、目が増えていたりと、途中で目数が変わっていても、次の段で気づきにくいのが注意点です。
間違った目数で側面を編み終わってしまい、持ち手をつけるときに目数が合わなくて、初めて編み間違いに気づく可能性も・・・。
そうなると、ほどいて編み直す段数が多くて、がっかりしてしまいますよね。
それを避けるために、側面を編んでいる途中、どこかのタイミングで1周の目数を数えるか、編み地を見て違和感のある部分がないかを確認しておきましょう。
一体型持ち手の編み方をおさらい!
バッグの側面を編み終えたら、持ち手つけ位置でくさり編みをし、次の段で、くさりの箇所は、くさりの向こう側1本と裏山をを拾ってこま編みをします。
これだけでバッグの持ち手をつけることができるので、とても簡単です。
持ち手のくさりから目を拾って編むところを、以下、画像とともにご説明しますね。
基本のマルシェバッグでできる簡単なアレンジ
浅型バッグ or 深型バッグにアレンジするには?
A.バッグ側面の段数を変えて調整します!
基本のマルシェバッグのシルエットを、もう少し浅型にしたいときは、側面で目数の増減なく編む段数を少し減らし、もう少し深型にしたいときは、側面の段数を増やします。
お好みのバランスになるよう調整していただく以外、特に問題になる点はありません。
持ち手の長さを、長く or 短くアレンジするには?
A.持ち手の土台となるくさりの目数を調整します!
こちらも、持ち手を長くしたいときはくさりの目数を多くし、短くしたいときは目数を減らすだけでOKです。
2か所ともくさりの目数が同じになるように数を確認してくださいね。
持ち手を長くすると、編み地のねじれが強く出るかもしれませんが、スチームアイロンを浮かせてかけると落ち着きますので、試してみてください。
ツートンカラーや多色づかいのバッグにアレンジするには?
A.段の編み終わりで、糸の色替えをしてみましょう!
簡単でオーソドックスなのは、段ごとに糸の色を替える方法です。
その場合、色を替えたい段の前段の編み終わりで、次に使いたい色の糸に替えて、段終わりの引き抜き編みをします。
「段ごとの色の替え方」ページに解説がありますので、ご参考になさってください。
そして、Sサイズのサンプル作品のように、一度だけ色を替えるのが最も簡単な色替えの方法です。
次にやりやすいのは毎段色を替える方法です。
毎段〜2段おきに色替えするくらいの細めボーダーだと、編み地の裏で糸が渡ってもあまり気になりません。
例えば、それが太めのボーダーになると、編み地の裏に渡る糸が長くなり目立ってしまいます(下に、編み地の裏側で糸が渡っているところを写した画像があります)。
糸を渡したくない場合は、色替えのたびに糸を切ってつけ直すか、使っていない色の糸を編みくるみながら編み進める、という方法がありますが、初心者さんは前者のほうが分かりやすくていいかなと思います。
あと、段数の均等な太めボーダーにする場合などは特に、側面を編む段数が合うように調整してみてくださいね。